インターネット上にはびこる情報の中で、最も危険な誤解は「血行を良くすれば神経の圧迫が自然に外れる」という言説です。温感パックで顔を温めたり、半身浴をしながら顔のストレッチを行ったりすると、一時的にリラックスして痙攣が和らいだように錯覚することがあります。しかし、それは全身の副交感神経が優位になったことで心拍数や血圧が下がり、血管の拍動圧が一時的に低下したに過ぎません。
根本にある「動脈硬化等で伸びて蛇行した血管が、顔面神経を圧迫している」という解剖学的状況は何一つ変わっていないのです。むしろ温めすぎた後に冷えたり、強く皮膚を摩擦したりすることで、末梢神経が過敏化して数時間後にリバウンド性の激しい発作に見舞われるケースが確認されています。物理的な接触障害を「筋肉の凝りや血行不良」と同列に語る言説には、断固として警戒しなければなりません。