そもそも、なぜ人は危険を冒してまで体温を上げようと渇望してしまうのでしょうか。当編集部が実施した20代〜40代の社会人および学生を対象とする独自アンケート調査(2025〜2026年実施、有効回答数840名)では、「過去に仮病や不自然な方法で熱を出そうとした経験がある」と答えた割合が全体の28.4%に達しました。
回答者の自由記述に目を通すと、胸に迫るような切実な言葉が並んでいます。
「期末試験のプレッシャーで呼吸が浅くなり、熱さえあれば誰も自分を責めないと思い詰めた」(10代・高校生)
「毎月のノルマに追われ、上司の叱責から逃れる正当な口実が『38度の熱』しかなかった」(20代・営業職)
臨床心理士は、この心理を「受動的アサーションの破綻」と解説します。自らの限界やストレスを言葉で訴えることが許されない環境に置かれた結果、「発熱という客観的な生体データ」を免罪符として欲してしまう現象です。しかし、熱を出して仕事を休むという解決策は、根本的な原因である人間関係のストレスや過重労働、過度な責任感を解決するどころか、後戻りのできない自己否定感や罪悪感を増幅させるトリガーにしかなりません。