御仏前の金封を用意する際、最も質問が集中するのが「お札の向き」と「新札の可否」です。これらは単なる形式的なルールではなく、古くから受け継がれてきた弔意の表現法に深く結びついています。
中袋(内袋)にお札を収める際、御仏前お札の向き裏表は「中袋の表面に対して、お札の肖像画が裏を向く」ように揃えるのが伝統的な作法です。さらに、お札を取り出したときに肖像画が最初に見えないよう、肖像画が封筒の下側(底側)に位置する向きで滑り込ませます。「顔を伏せることで悲しみに暮れる姿を表す」「故人への慎みと敬意を示す」という精神性が、この所作に込められています。
複数枚のお札を包む場合は、すべてのお札の向きと天地を狂いなく揃えることが鉄則です。新旧のお札が混ざっていたり、表裏がバラバラになっていたりすると、受取人である遺族が金額を確認・集計する際に大きな手間をかけることになります。
一方、現場で最も議論が巻き起こるのが御仏前新札マナー理由です。通夜や葬儀では「前もって不幸を予期して用意していた」と受け取られないよう新札を避けるのが鉄則でした。しかし、四十九日法要や年忌法要はあらかじめ日程が決まっている追善供養であるため、現代のマナー論では「新札を用いても失礼には当たらない」と解釈されるケースが主流となっています。
それでも現場の取材では「年配の親族から『法事にピン札を入れるとは常識がない』と苦言を呈された」という相談が絶えません。地域性や親族間の価値観のギャップによるトラブルを防ぐ賢明な知恵が、御仏前お札折り目をつける理由です。銀行で両替した新札であっても、あらかじめ真ん中で半分に軽く折り目をつけ、「事前に整えつつも、弔意を込めてひと手間加えた」という姿勢を示すことで、あらゆる世代からの無用な誤解を完全に回避できます。