自治体の1歳半健康診査で「指差しが出ず、手を引っ張る行動ばかりが目立つ」と指摘され、要観察となった保護者の記録や育児コミュニティの生の声からは、深い苦悩と同時に、その後の前向きな変化が浮き彫りになっています。
ある保護者の手記によると、1歳6ヶ月時点で「抱っこをせがむこともなく、絵本を読んでも指差しをせず、棚のお菓子を指差す代わりに母親の手首を無言で引きちぎらんばかりに引っ張る」という状態が続いていました。「自閉症に違いない」と思い詰めた母親は、地域の保健師に相談。専門家のアドバイスを受けて家庭内での関わり方を徹底的に見直したといいます。子どもの手を引かれた際、すぐに動くのをやめ、「クッキーが欲しいの?」「あけて、だね」と子どもの視線の先にあるものを笑顔で指差しながら言葉を添え続けました。
その結果、2歳2ヶ月を迎えた頃から徐々に「あけて」「ちょうだい」という単語が出始め、2歳半になる頃にはクレーン現象が完全に消失したと報告されています。ネット上で「クレーン現象が治った」と語られる体験談の多くは、医学的な病気が治癒したという意味ではなく、「言葉やジェスチャーという代替コミュニケーションを獲得したことで、物理的に手を引く必要性がなくなった」という発達のステップアップを意味しています。
一方で、3歳近くになっても視線が合わず、クレーン現象以外の方法で気持ちを表現できないまま児童発達支援につながった家庭からは、「早期に療育を始めたことで、絵カード(PECS)を使ったコミュニケーションや感覚統合療法を取り入れ、パニックが劇的に減った」という実体験も寄せられています。行動を単に悲観するのではなく、子どもの「現在の発達段階」を知る手がかりとして受け止める視点が求められます。