春の白い花を語る上で、絶対に軽視してはならないのが「毒性」と「庭木導入後の管理トラブル」という現実的な問題です。ネット上では「清楚で可愛い」「手入れが簡単」というポジティブな側面ばかりが強調されがちですが、現場では毎年深刻なトラブルが発生しています。
その筆頭がスズランの毒性リスクです。ヨーロッパでは「聖母マリアの涙」とも呼ばれ、フランスでは5月1日に愛する人へ贈る習慣があるスズランですが、植物全体、特に花や根、さらには種子にコンバラトキシンやコンバロシドなどの強心配糖体を大量に含んでいます。その毒性は青酸カリの15倍以上とも言われ、誤食すると激しい嘔吐、眩暈、血圧低下、不整脈を引き起こし、重篤な場合は心不全に至ります。
厚生労働省の自然毒事故事例データベースでも、スズランをギョウジャニンニク(行者大蒜)の新芽と誤って採取・喫食した食中毒事例が定期的に報告されています。さらに家庭内での盲点として、「スズランを生けていたコップや花瓶の水を、小さな子どもやペット(犬・猫)が誤飲して中毒を起こす」という事故です。スズランの毒成分は水溶性であり、生け水にも毒素が溶け出します。庭や室内に導入する際は、設置場所の厳格な配慮が不可欠です。
また、庭木としての「ユキヤナギ」や「ドクダミ」の繁殖トラブルも後を絶ちません。ユキヤナギは非常に強健ですが、地下から「吸枝(ひこばえ)」を次々と出して横に広がり、数年放置すると株回りが2メートル近くまで膨張して隣地へ越境します。初夏に白い十文字の苞を開くドクダミも、美しさからグランドカバーとして植えた結果、強靭な地下茎が張り巡らされ、他の草花を駆逐して「二度と根絶できない」と後悔する相談が園芸窓口に多数寄せられています。