検索エンジンで「夢 よく 見る 人」と入力すると、上位には「潜在意識からの高次元メッセージ」「魂の浄化」「霊的なアンテナの鋭さ」といったスピリチュアルな解説が多数ヒットします。もちろん、夢の内容を自身の深層心理や感情の整理として内省的に捉える心理学的アプローチ(ユング心理学的な元型の分析など)には、一定の自己対話としての価値が存在します。しかし、客観的な事実検証を怠り、体調不良を伴う「夢の多発」を安易にスピリチュアルな理由だけに帰結させることには大きな危険が伴います。
取材班が睡眠専門医に確認したところ、「霊的な意味を信じて悪夢を我慢し続けた結果、重度のうつ病や心血管系の負担を見逃してしまった患者が後を絶たない」という深刻な証言が得られました。悪夢ばかりを見る心理的理由の根本には、魂の交信などではなく、現実生活で抑圧された慢性ストレスや感情の過負荷が存在します。怒り、恐怖、無力感といった未消化の感情が、扁桃体の過剰興奮を引き起こし、交感神経を高ぶらせた結果として、ストーリー仕立ての恐怖体験として脳内再生されているにすぎません。「スピリチュアルな宿命」として受け流すのではなく、「身体が発している生物学的なSOS」として論理的に切り分ける姿勢が不可欠です。