草野マサムネが紡ぎ出すメロディラインは一聴すると極めてキャッチーでありながら、コード進行やリズム構造には緻密なロックの美学が張り巡らされています。「春の歌」のイントロで鳴り響くアコースティックギターのリフは、春風のそよぎを思わせる軽やかさがありつつ、奥田民生ら多くのミュージシャンからも絶賛されるグルーヴ感を保持しています。
草野自身は制作時、単なる季節の風物詩を描くのではなく「季節の変わり目に誰もが感じる、もどかしさやざわめき」を形にしようと試みました。サビの「愛と希望をもどかしく抱きしめて」という表現に象徴されるように、手放しの幸福ではなく「もどかしさ」を抱えたまま進む等身大の人間像を投影したからこそ、20年以上経っても陳腐化しない強靭なマスターピースが完成したのです。