ささみがパサパサになってしまう最大の理由は、肉の主成分であるタンパク質の熱変性にあります。鶏肉のタンパク質は60度前後から凝固が始まり、65度を超えると筋線維が強く収縮して内部の水分を一気に外へ絞り出してしまいます。特にささみは脂肪分が極めて少ない部位であるため、水分が抜けるとダイレクトに硬さやパサつきとして感じられてしまうのです。
これを防ぎ、ささみをパサつかせず柔らかくする方法として有効なのが、加熱前の適切な下処理と保水コーティングです。
まず押さえておきたいのが、ささみの筋取りの下処理のコツです。筋の先端をキッチンペーパーでつまみ、包丁の背やフォークの隙間を筋に当てて肉をしごくように押し出すと、身を崩さず数秒で綺麗に取り除けます。筋を取った後は、フォークで全体に数カ所穴を開け、筋線維を軽く断ち切っておきます。
さらに決定的なのが、「酒・砂糖・塩」による保水の下準備です。ささみ2本(約100〜120g)に対して、酒小さじ1、砂糖ひとつまみ、塩少々をもみ込み、5分ほど置きます。砂糖の保水性とアルコールの浸透圧作用により、加熱しても肉内部の水分が保持され、驚くほどのしっとり感が持続します。