社会学者の大野晃が1990年代に提唱した「限界集落」という言葉は、65歳以上が人口の半数を占め、冠婚葬祭など共同体としての社会的共同生活の維持が困難になった地域を指す。高度経済成長期の都市部への人口集中、その後に続いた長年の産業構造の変化が、地方の体力をじわじわと奪い続けてきた。
この危機的状況はこれまでも幾度となくテレビや報道で取り上げられてきた。NHKスペシャルをはじめとする社会派ドキュメンタリー番組は、過疎の最前線で揺れる住民の葛藤や集落消滅のプロセスを映像として記録し続けている。過去の名作ドキュメンタリーは現在もNHKオンデマンドなどで視聴可能であり、当時の警告が現代において現実のものとなった事実を痛烈に突きつけている。単なる一過性のニュースではなく、日本の国土利用そのものを問う本質的な問題なのだ。