作品を巡る騒動の渦中にありながらも、作品の芸術的価値を支えているのは主演キャスト陣の圧倒的なパフォーマンスだ。白雪姫を演じるレイチェル・ゼグラーは、『ウエスト・サイド・ストーリー』で魅せた圧倒的な歌唱力と存在感を武器に、受動的なヒロインではなく自らの足で立つ強い意志を持った主人公像を作り上げた。
対する邪悪な女王役のガル・ガドットは、従来の冷酷な美しさに加え、キャラクターの内に秘められた執着と孤独を重厚な演技で体現している。ふたりのダイナミックな対峙は、従来の「王子様に救われるおとぎ話」から脱却し、自己確立と権力をめぐるドラマへと作品を引き上げている。