本作の魅力を余すことなく堪能するためには、翻訳表現の細部にも注目したい。国内配信プラットフォームで用意されている日本語字幕・吹替版は、いずれもキャラクターの繊細な心理描写を見事に拾い上げている。
特に主人公シュガーの言葉遣いは、ハードボイルドな探偵像と彼の持つ独特な柔和さのバランスが絶妙に表現されている。英語特有の二重意味や映画の引用セリフが、日本語の文脈に違和感なく落とし込まれている点は見事の一言に尽きる。字幕版でコリン・ファレルの生の声と吐息を感じるも良し、吹替版で声優の重厚な演技に浸るも良し。二度目の鑑賞で新たな発見が生まれる作りになっている。