もっとも、課題がゼロというわけではない。技術の優位性が証明された一方で、最大の関門として立ちはだかるのが「安定的な量産体制の構築」だ。試作段階での高いパフォーマンスと、工場で毎日数百万個の製品を均一な品質で製造することの間には、深くて暗い溝が存在する。
さらに、海外勢の追撃も凄まじい。特にアジア各国の新興半導体ファンドは、巨額の政府補助金を背景に技術者の引き抜きや特許の包囲網を着々と進めている。日本企業が研究開発の成果をそのまま商業的勝利へと結びつけられるか、それとも「技術で勝って事業で負ける」かつての構造を繰り返すのか。まさに今、瀬戸際の判断が求められている。