一方で、日本アカデミー賞には常に「大手配給会社(東宝・松竹・東映など)による持ち回りではないか」「興行優先で芸術的挑戦が軽視されているのではないか」といった厳しい批評やネット上の声が存在します。SNSや映画レビューサイトでは、ノミネート発表のたびに「あの名演がなぜ優秀賞から漏れたのか」という議論が巻き起こります。
現場取材と投票構造の分析から見えてくるのは、4,000名近い協会員の構成比率です。大手映画会社の社員や関係者が一定数を占める構造上、全国の大規模スクリーンで上映されたメジャー配給作品のほうが「会員に見てもらえる機会が多い」という物理的優位性は否定できません。ミニシアター系作品や単館上映の小規模作品がどれほど傑出していても、協会員全員が試写を鑑賞できるわけではないという構造的課題が存在します。
しかしながら、近年の選考結果を見ると、『新聞記者』や『ドライブ・マイ・カー』のように、インディペンデント系製作や作家性の強い作品が最優秀賞を射止めるケースが確実に増えています。ネットの批判的な視線が会員たちの選考意識を刺激し、より作品本位・演技本位の公正なジャッジへとシフトしている現れと言えます。