完全犯罪を企てた動機の根底にあったのは、姉妹であるがゆえの「強烈な依存と才能への嫉妬」でした。脚本家チーム「加賀美エリ」の評価が高まるにつれ、実際に物語を紡ぎ出している妹のもみじは、姉に支配される関係に息苦しさを感じるようになります。そしてついに、自らの単独名義で新作ドラマを執筆し、コンビを解消して独立することを決意します。
社交的でプロデュース能力に長けているとはいえ、自身には創作の才能がないことを誰よりも自覚していた姉のかえでにとって、妹の独立宣言は自らの社会的地位とアイデンティティの完全な喪失を意味していました。妹の才能を誰よりも愛し、誇りに思いながらも、自分を捨てて羽ばたこうとする妹を許すことができなかったかえで。「加賀美エリ」という共同体を守るため、そして妹の才能を永遠に自分のものにするため、彼女は妹を殺して「もみじ自身」になるという歪んだ道を選んでしまったのです。