なぜ、一地方公社で14億円もの巨費が長期間にわたり流出し続けたのか。事件の核心は、チェック機能の完全な不全にあった。
青森県住宅供給公社で経理を担当していた千田郁司受刑者は、公社の銀行口座から小切手を振り出す権限を独占していた。上司の印鑑を容易に入手できる環境や、長年にわたる担当業務の固定化が、内部不正の温床となったのだ。犯行は数年間にわたり手口をエスカレートさせながら繰り返され、流出した資金は目眩がするほどの勢いで南米へと送金されていった。
この構造的問題は、単なる一職員の暴走にとどまらず、公的機関における内部統制や監査機能がいかに形骸化していたかを白日の下に晒すこととなった。