菅田将暉という表現者のキャリアを振り返ると、常に固定観念の破壊と再構築の連続であった。大ヒットを記録した映画『花束みたいな恋をした』で見せた若者の繊細な日常着の演技から、異色の会話劇として話題をさらった『ミステリと言う勿れ』での独特なボリュームヘアと膨大なセリフ量をこなす久能整役まで、その振れ幅の広さは群を抜いている。
日本アカデミー賞協会をはじめとする数々の映画賞で高い評価を獲得し続けてきた理由もここにある。単に与えられた役を演じるのではなく、作品の解像度を上げるために自分自身のビジュアルと存在感を完全にチューニングする。彼にとって、見た目を作品に捧げることは特別なことではなく、役者としての極めて自然な流儀なのだ。