この独自の手書き文化を牽引してきた象徴的な人物が、伝説のPOP職人として知られる椿正輔氏だ。長年にわたり現場の最前線でペンを握り続けてきた同氏は、単に綺麗な文字を書くことと「売れる文字を書くこと」は根本的に異なると指摘する。
椿氏が明かす裏話によれば、ヒットするPOPの裏には必ず「顧客の主観に寄り添った泥臭い言葉選び」があるという。メーカーが用意したカタログスペックをそのまま転載しても客の心には響かない。「店長が買いすぎて困っています」「正直、見た目は悪いですが味は絶品です」といった、生々しい人間味が伝わるフレーズこそが、購買行動の最後の背中を押す。綺麗なデザインではなく、情熱と違和感を同時に与えることこそが、店頭で勝利を収める最大の秘密なのだ。