テレビの画面越しに見せる軽妙なやり取りとは裏腹に、かつての兄弟関係は決してベタベタしたものではなかった。佐賀と千葉を舞台にした幼少期、歳の離れた兄・はなわの存在は、弟にとってどこか遠い憧れであり、同時に最大のライバルでもあった。
はなわが先にマセキ芸能社に所属し、一躍時の人となった頃、塙宣之はまだ若手漫才師として模索の渦中にいた。「兄の威光には頼らない」——そう心に決め、浅草・東洋館の舞台に立ち続けた日々が、ナイツの骨太なスタイルを形作ったのは間違いない。舞台袖で互いのネタを客観的に評価し合う冷徹なプロの目線と、身内ゆえの生々しい葛藤。バラエティ番組の裏側で交わされた秘密の助言や、下増波(下北沢や浅草などの演芸小劇場)時代の秘話は、今なお語り継がれる。