具体的に数字を並べてみよう。例えば定価1,500円の紙の書籍を1,000部発行した場合、印税率10%なら著者の収入は15万円だ。完売すればの話であり、売れ残って返本されれば次回作の執筆機会すら危うくなる。出版までのハードルも高く、企画書の通過から初版が店頭に並ぶまで半年から1年以上を要することも珍しくない。
一方、Amazon Kindle Storeなどの電子プラットフォームで500円の電子書籍を個人出版し、KDPの70%ロイヤリティを適用したケースを想定する。1冊あたりの手取りは約350円。同じ15万円を稼ぐために必要な販売部数は約430部に過ぎない。紙の半分以下の部数で同等の印税額に達する計算だ。しかも在庫リスクはゼロ、絶版という概念すら存在しない。文字通り「書いた分だけ積み上がる資産」となる点が、従来の紙の出版と電子出版の決定的な分かれ目である。