春川ますみのキャリアを語る上で欠かせないのが、東映の大ヒット映画『トラック野郎』シリーズ(1975年~1979年・全10作)です。愛川欽也演じる「ヤモメのジョナサン」こと松下金造の愛妻・松下君江(母ちゃん)役として全作品にレギュラー出演しました。
毎回たくさんの子どもたちを抱えながら、夫の無鉄砲を叱り飛ばしつつ温かく支える肝っ玉母さんの姿は、日本中の映画ファンの心を掴みました。菅原文太演じる一番星・桃次郎とのコミカルな掛け合いはシリーズの名物であり、昭和の理想の家族像・母親像を象徴する存在として定着しました。
一方でテレビ時代劇においても圧倒的な足跡を残しています。特に『必殺からくり人・血風編』のお新役や『翔べ! 必殺うらごろし』のおよね役など、必殺シリーズにおける重要キャストとして重用されました。情念と哀愁、そして庶民の逞しさを併せ持つキャラクター造形は、他の追随を許さない独自のポジションを確立していました。