本作の最大の衝撃、それは画面に映るすべての風景が「実在する」という事実だ。インドの青い街ジョードプル、ナミビアの真っ赤な砂丘、インドネシアの壮大なケチャダンス、そしてイタリアの古代遺跡。ターセム監督は自費を投じ、コマーシャル撮影の合間をぬって4年以上の歳月をかけて地球上を巡り歩いた。
グリーンバックで撮影しポストプロダクションで空の色を変える現代の手法とは対極にある。風が砂を払う音、太陽の角度によって刻一刻と変わる影の長さ、そして歴史がしみ込んだ建造物の質感。それらすべてが本物だからこそ、スクリーンの前に立つ観客は息を呑む。嘘のない映像だけが持つ重圧感が、画面越しに叩きつけられてくるのだ。