塩原温泉郷の玄関口に位置するこの地は、古くから多くの文人墨客を惹きつけてきた。明治期に活躍した尾崎紅葉や徳冨蘆花も、箒川の流れるダイナミックな渓谷美と滝のしぶきに心を奪われたと伝えられる。吊り橋から望む「回顧の滝」は、白糸のように岩肌を滑り落ちる姿が美しい。
渡ってきた橋をもう一度振り返りたくなるほどの絶景――その名の由来は、単なる観光上のフレーズではない。かつて山道を歩きつないだ旅人たちが、去り際に覚えた名残惜しさそのものを表している。現地の案内板に記された古い記録を読み解くと、時代ごとに木材や構造を変えながらも、この眺望だけは一貫して大切に守り継がれてきたことが分かる。