和歌山県東牟婁郡串本町に本店を構えるたな梅本店は、幕末の慶応年間(1860年代)に創業したと伝えられる屈指の老舗です。紀伊半島の南端という地理的利点を生かし、近海で揚がる新鮮な鮮魚を主原料にした蒲鉾作りからその歩みを始めました。
機械化が進む現代の食品業界において、たな梅本店が守り続けているのは「魚本来の風味と食感を極限まで引き出す職人の手作業」です。魚種ごとの水分量や脂の乗りを見極めながらすり身を仕立て、火入れの温度や焼き加減を職人が五感でコントロールしています。保存料に頼り切らない実直な製法が、雑味のない澄んだ旨味を生み出す原点となっています。