勝ち名乗りを受けた力士が、軍配の上の熨斗袋を受け取る直前に右手で「左、右、中」と空を斬る動作を行います。この手刀(しゅとう・てがたな)を切る作法は、単なる喜びのパフォーマンスではなく、神道に由来する厳格な神事の作法です。
相撲の歴史において、手刀は古事記に登場する「造化の三神(ぞうかのさんしん)」への感謝を表す礼儀とされています。
・左を切る:天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)への感謝
・右を切る:高御産巣日神(たかみむすびのかみ)への感謝
・中を切る:神産巣日神(かみむすびのかみ)への感謝
また別の伝承では「天の神」「地の神」「人の和」の三徳に感謝を捧げているとも言われています。手刀を切った後に掌を上に向けて押し頂くように懸賞袋を受け取るのは、「神仏のお恵みを謹んで頂戴する」という意味が込められています。かつて昭和の大横綱・双葉山が土俵の品格を守るために徹底させた美しい所作が、現代の幕内土俵にもそのまま受け継がれています。