野木亜紀子作品のヒットを語る上で欠かせないのが、演出家の塚原あゆ子とプロデューサーの新井順子の存在です。この3名がタッグを組んだ作品は『アンナチュラル』『MIU404』『ラストマイル』『海に眠るダイヤモンド』と続き、現在の日本の映像エンターテインメントにおける最高峰のブランドを確立しています。
関係者の証言やインタビュー記録によると、この3人の強みは「企画段階における徹底的な議論」と「脚本・映像・プロデュースの三位一体となった解像度の高さ」にあります。野木が書き上げる緻密でテンポの速い長台詞の脚本に対し、塚原あゆ子は映画的なライティングと計算し尽くされたカメラワーク、俳優陣の感情を極限まで引き出す演出で応えます。そこに新井プロデューサーが米津玄師をはじめとする象徴的な主題歌の選定や、骨太なキャスト布陣を完璧にコーディネートすることで、テレビドラマの枠を完全に超えたクオリティが担保されています。
特に『ラストマイル』では、別々の作品として成立していた『アンナチュラル』と『MIU404』のキャラクターたちが同一の世界線上に自然に交錯する「シェアード・ユニバース」を見事に完遂。日本の実写映画界では極めて珍しい大規模な試みを大成功に導きました。