長年愛され続けてきたランドマークがなぜ建て替えを余儀なくされているのか。そこには都市防災と経済構造の避けられない現実が存在します。
第1の理由は耐震性能の不足と建物の老朽化です。1981年以前の旧耐震基準で設計された当ビルは、東京都が公表した耐震診断結果において「大規模地震時に倒壊・崩壊の危険性がある」と指摘されました。配管設備の劣化や躯体の維持補修コストの高騰は限界に達しつつあります。
第2の理由は防災拠点としての機能不足です。1日数十万人が行き交うターミナル駅前でありながら、広域避難場所や帰宅困難者の受け入れスペースが著しく不足しており、首都直下地震を想定した都市強靭化が急務となっています。
第3の理由は権利関係の極端な細分化です。オープン当初に店舗区画が細かく分譲されたため、区分所有者が数百名規模に及びます。建物の適切な大規模修繕を行うこと自体が難航し、抜本的な街区再編による再開発が唯一の現実的解決策となった背景があります。