ハードウェアとしての面白さも、このブームを加速させている大きな要因だ。地方都市の中心部に残された昭和レトロな商店街の空き店舗、緑豊かな中山間地域に取り残された木造校舎、あるいは使われなくなった旧郵便局。これらが建築家や地元クリエイターの手によって、驚くほど洗練された空間へと生まれ変わっている。
「床材には地元の間伐材を使い、高速光回線と最新の防音ポッドを完備した。歴史の重みと最先端インフラのコントラストが、利用者にとって最高の刺激になる」と、静岡県内で廃旅館を改装した拠点を立ち上げた30代の建築家は語る。古びた梁(はり)を見上げるオープンラウンジで、世界中のクライアントとオンライン商談を行う。その光景には、これまでの日本の職場観を軽やかに飛び越える痛快さがある。