保江氏の活動の中でひときわ異彩を放つのが、武道家としての一面です。幼少期より空手や古流柔術に親しんでいた同氏は、大東流合気柔術や合気道の真髄を探求する中で、物理法則と人体の運動力学、さらには意識の相互作用を統合した独自の武道「冠光寺流柔術(かんこうじりゅうじゅうじゅつ)」を開創しました。
冠光寺流の根幹にあるのが、技を力でかけるのではなく、相手への純粋な好意や調和の意識によって相手の抵抗力を無力化する「愛魂(あいこん)」と呼ばれる技術です。力学的なベクトルを相殺するのではなく、量子もつれのような非局所的な意識のつながりを利用して相手を崩すという理論は、武道界のみならず身体論を研究する識者からも大きな注目を集めました。
「力を抜く」「相手を受け入れる」という極意を、抽象論にとどめず物理学の観点から論理的に解説するアプローチは、多くの門下生や武道修行者を魅了し続けています。