分厚い霜を前にしたとき、短時間で手っ取り早く解決しようとして危険な暴挙に出てしまうユーザーが後を絶ちません。しかし、インターネット上の民間療法を鵜呑みにした結果、冷蔵庫を一瞬で再起不能にする事故が多発しています。
代表的なNG行動が、冷蔵庫の霜取りにおけるドライヤーの危険性を軽視した温風照射です。一見すると効率的に見えますが、冷蔵庫の内壁に使用されているプラスチック(ABS樹脂やPS樹脂)は耐熱温度が約70〜80℃程度しかありません。ドライヤーの吹き出し口付近の熱風(100〜120℃)を至近距離で当て続けると、庫内パネルが熱変形・融解し、内部の断熱材が破壊されて二度と本来の密閉冷却性能を発揮できなくなります。また、溶け出した水がドライヤー本体にかかることによる感電や漏電ブレーカーの作動リスクも極めて高くなります。
次に致命的なのが、霜取り中にアイスピックで冷却器を破損させる事故です。早く氷を割りたい一心で、ドライバーや包丁、アイスピックを氷の隙間に突き立てる行為は絶対に避けてください。直冷式冷蔵庫の冷却板(エバポレーター)は、わずか数ミリの薄いアルミニウムでできています。金属の先端がアルミ配管を貫通した瞬間、「プシュー」という音とともに内部の高圧冷媒ガス(イソブタン=R600a等)が噴出し、完全に故障します。可燃性ガスが漏出することによる引火リスクに加え、冷却器配管の穴あき修理は部材交換を含め50,000円〜80,000円以上の高額出費となり、小型冷蔵庫であれば買い替えを余儀なくされます。
また、熱湯を直接壁面にかける行為も危険です。極低温に冷え切った樹脂やガラス製トレイに熱湯を直接注ぐと、急激な熱膨張による「ヒートショック」で部材にヒビ割れや亀裂が生じます。直接かけるのではなく、後述する安全な間接加熱アプローチを採る必要があります。