本作を語る上で欠かせないのが、前半と後半でガラリと主役とトーンが切り替わる豪華キャスト陣によるリレー形式の相関図です。
第一部:金栗四三(中村勘九郎)と「黎明の青春」
第1部(第1回〜第24回)を牽引したのは、歌舞伎界のトップランナーである中村勘九郎が演じる金栗四三です。「とつけむにゃあ(とんでもない)」の口癖とともに、熊本の山奥から東京高師へ進み、足袋を履いてひたすら走り続けたストイックな姿を泥臭く体現しました。妻・スヤ役の綾瀬はるかとの素朴で温かな夫婦愛、そして「日本の体育の父」嘉納治五郎(役所広司)との師弟関係は、近代スポーツの黎明期を熱気あふれる青春ドラマとして描き出しました。
第二部:田畑政治(阿部サダヲ)と「激動の五輪招致」
第2部(第25回〜最終回)の主人公となったのは、阿部サダヲ演じる田畑政治(まーちゃん)です。新聞記者であり日本水泳連盟の指導者でもある田畑は、早口で落ち着きがなく、口を開けば失言ばかり。しかし、戦争によって引き裂かれたスポーツの灯を消すまいと、1964年東京オリンピックの招致に向けて狂気的な情熱を燃やします。
相関図を彩る脇役陣も破格の重厚さでした。IOC総会で伝説のスピーチを放つ平沢和重役の星野源、水泳陣を率いる高石勝男役の斎藤工、そして田畑を支え時に衝突する大日本体育協会副会長・武田琢己役の松尾スズキなど、演劇界・映画界の主役級が惜しみなく投入されました。キャストの交代劇などの逆境を乗り越え、演者全員が「この物語を完璧に届ける」という凄まじい執念を画面越しに叩きつけていたのです。