鈍色とはどんな色?読み方・カラーコードから平安喪服の歴史まで徹底解説

鈍色とはどんな色?読み方・カラーコードから平安喪服の歴史まで徹底解説

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日本語にはグレーを指す表現として「鈍色」「灰色」「鼠色」が存在しますが、これらは単なる同義語ではありません。成立した時代、文化的文脈、そして人々に与える心理的印象が大きく異なります。

第一に、「灰色」はすべてのグレーを包括する総称です。植物や木を燃やした後に残る「灰」の色に由来し、平安時代以前から存在していた表現ですが、火事を連想させる「灰」の字を嫌う忌み言葉としての側面もありました。現代においては、感情の起伏を伴わない客観的・中立的なカラーネームとして定着しています。

第二に、「鼠色」は江戸時代に花開いた町人文化の象徴です。江戸幕府による度重なる「奢侈禁止令(贅沢の禁止)」により、庶民は派手な着物を禁じられました。その制約のなかで、茶色と鼠色の中に無数のニュアンスを見出し、「四十八茶百鼠(しじゅうはっちゃひゃくねずみ)」と呼ばれる洗練されたファッション文化を生み出したのです。鼠色は、生活の知恵と反骨精神、そして都会的な「粋」を体現するポジティブなニュアンスを持っています。

対して「鈍色」は、平安時代の禁忌と服喪に根ざした精神的な色です。後述するように、親しい者の死を悼み、この世の栄華から身を引く際に纏う色であったため、鈍色には常に「哀傷」「孤独」「静寂」「無常観」といった文学的・情緒的な影が宿っています。カラーデザインにおいてこの3色を使い分ける際は、色数値の差だけでなく、背景にあるストーリー性を考慮することが不可欠です。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。