スマートフォンの普及に伴い、「フライトレーダー24(Flightradar24)」などの民間航空機追跡アプリを活用して飛行機を探す人が増過しています。ネット上では「フライトレーダーにブルーインパルスが映らない」「フライトレーダー目撃情報が出ないから今日は飛ばないのでは」といった誤解や憶測が後を絶ちません。しかし、この認識には軍用機の特性に関する決定的な知識不足が存在します。
結論から言えば、ブルーインパルス(T-4練習機)は基本的に民間フライトレーダーには表示されません。フライトレーダーが航空機を捕捉・プロットする仕組みは、機体から発信される「ADS-B(放送型自動従属監視)」信号を受信することに依存しています。しかし、防衛省・自衛隊が運用する戦闘機や練習機などの軍用機は、国防上の機密保持および電波運用の観点から、平時の訓練においてADS-Bトランスポンダーを意図的に民間受信機向けに常時ブロードキャストしていません。
ごく稀に、航法訓練や他基地への移動(フェリーフライト)の際に特定の中継器モードが反応し、一時的にアイコンが表示される事例は存在します。しかし、松島基地上空で日常的に行われる基地上空訓練においては、アプリ上に航跡が描かれることはまずありません。したがって、アプリの画面上に機影がないことを理由に訓練の有無を判断するのは完全に誤りです。
現場のベテランウォッチャーたちは、デジタルの航跡アプリではなく、基地周辺の風向きを吹き流しで確認し、管制塔とパイロットが交わす航空無線(エアバンド)の交信周波数に耳を傾けることで、離陸準備の進捗を正確に察知しています。ネット上の不確かな目撃情報に振り回されることなく、基地の物理的なサインを読み解く姿勢こそが求められます。