日本全国の映画館を熱狂させてきた「午前十時の映画祭」は、2019年から2026年にかけて開催された「午前十時の映画祭10-FINAL」をもって、文字通りピリオドを打つ予定でした。当時の公式発表や関係者の証言によると、終了理由の根底には「上映権の調達限界」と「事業スキームの節目」という極めて現実的な問題が存在していました。
本企画は、公益財団法人川喜多記念映画文化財団や一般社団法人映画演劇文化協会などが中心となり、フィルムからデジタルデータ(DCP)への移行期に埋もれかけていた名作を救い出し、劇場文化を守る目的でスタートしました。しかし、当初想定していた主要クラシック作品の上映権が一巡したこと、海外スタジオとのライセンス交渉における権利料高騰、さらに10年間という当初の事業目標を完走したことで、主催側は「役割を果たした」としてプロジェクトの終了を決断したのです。
この幕引きに対し、全国の劇場支配人や映画ファンから継続を求める声が殺到しました。SNS上での存続嘆願運動にとどまらず、劇場現場からは「平日の午前中にシニア層や熱心な映画ファンが映画館へ足を運ぶ貴重な文化インフラを失ってはならない」という切実な声が上がりました。
こうしたファンの熱気と興行側の強い後押しを受け、運営委員会は新たな調達体制を再構築。対象作品の年代を1980〜1990年代、さらには2000年代初頭のモダン・クラシックスまで拡大し、新たなパートナーシップを結ぶことで、2026年の「午前十時の映画祭11」として劇的な復活の経緯を辿ることになりました。