早見あかりという表現者を語る上で、決して避けて通れない原点が2011年4月10日の中野サンプラザ公演です。グループ結成初期から青色担当のクールビューティーとしてファンに愛され、百田夏菜子を精神的支柱として支え続けた彼女が、人気絶頂へと駆け上がるまさにその直前に下したグループ離脱の決断は、当時のアイドル界を震撼させました。
早見あかり ももクロ脱退理由の根底にあったのは、決して人間関係の不協和音などではなく、自らのアイデンティティに対する極めてストイックな問いかけでした。当時の特番インタビューや手記において彼女は、「自分はアイドルという職業に向いていないのではないか」「歌やダンスで笑顔を届けることに嘘をついてステージに立ち続けるのは、全力で応援してくれるファンに対しても、本気でトップを目指している他のメンバーに対しても失礼ではないか」と自問自答し続けた苦悩を吐露しています。
小学生時代にスカウトされ、大手芸能事務所スターダストプロモーションに所属した当初から、彼女の心にあったのは「芝居がしたい」という一念でした。アイドルとしての華やかな成功が約束されつつあったレールを自ら降り、無名の新人女優としてオーディションを受け直す道を選んだ潔さ。このときに培われた「自分に嘘をつかない」という人生哲学こそが、後の結婚生活の清算においても通底する彼女の根本的な行動原理となっています。