悪性リンパ腫が恐れられる理由の一つに、初期症状の自覚が難しく、風邪や疲労による体調不良と見過ごされやすい点が挙げられます。
最も典型的な初期症状は、首の付け根(頸部)、わきの下(腋窩)、足の付け根(鼠径部)などに生じるしこり(リンパ節の腫れ)です。一般的なリンパ節炎や風邪に伴う腫れと異なる決定的なポイントは、以下の特徴に集約されます。
- 痛みを伴わない(無痛性):押しても痛みがなく、硬いゴムのような感触であることが多い。
- 数週間〜数ヶ月かけて徐々に増大する:風邪などの炎症であれば数日から1〜2週間で縮小するが、悪性リンパ腫の場合は自然に消えず大きくなり続ける。
- 周囲と癒着して動かない:指で触れても皮膚の下でコロコロと動かず、奥に固定されているような感覚を伴う。
さらに、病変の進行に伴って現れるのが「B症状」と呼ばれる全身性のサインです。具体的には、原因不明の「38度を超える発熱」、寝具を取り替えるほどの「激しい盗汗(寝汗)」、そしてダイエットをしていないにもかかわらず「半年間で体重が10%以上減少する」という3大徴候です。
笠井アナウンサーの場合、初期の異変は首のしこりではなく、「極度の腰痛」や「排尿障害」という形で現れました。前立腺肥大症を疑って受診したものの原因が判明せず、精密検査を重ねた結果、骨盤腔内のリンパ節が巨大化して周囲の神経や尿道を圧迫していたことが判明したのです。このように、身体の深部(胸部や腹部)に発生した場合は体表にしこりが出ず、臓器の圧迫症状として自覚されるケースもあるため、原因不明の体調不良が数週間続く場合は注意が必要です。