物語の中盤から千空たちの通信に不気味に割り込み、幾度となく「WHY」というモールス信号や音声を発信し続けたホワイマン。その正体は、人間や地球外知的生命体(宇宙人)といった肉体を持つ存在ではなく、「意思を持った無数の石化装置(メデューサ)そのもの」で構成された機械生命体でした。
月面に鎮座していたホワイマンは、巨大な単一の怪獣やロボットではなく、数百万基ともいえるメデューサが黒い球体のように密集し、集団知性(ハイブマインド)を形成していた集合体だったのです。
では、なぜホワイマンは「千空自身の声」を使って語りかけてきたのでしょうか。その理由は、極めて合理的かつ冷徹な機械的判断によるものでした。ホワイマンは、千空たちが科学王国を立ち上げ、地球上で電波通信(無線)を開始した瞬間にその電波を傍受・解析しました。その際、最も頻繁に電波通信を行っていたリーダーである「千空の音声データ」をそのままコピー・合成し、人類に対して最も効率よく命令を通達するために利用したのです。
さらに、彼らが発信し続けた「WHY(なぜだ)」というメッセージには、人間側が恐れていた悪意や威嚇ではなく、「なぜ石化という最高の恩恵を自ら解除し、再び死のリスクを冒して動き出すのか」という純粋な疑問と困惑が込められていました。ホワイマンにとって、肉体が劣化せず永遠の時を生きられる石化は「救済と進化」であり、それを拒んで科学文明を復活させようとする人類の行動原理が全く理解できなかったという背景が存在します。