アメリカ現地におけるフェンタニル禍は、統計上の数字を遥かに超えた悲惨な光景を日常に変えてしまいました。フィラデルフィアのケンジントン地区やサンフランシスコのテンダーロイン地区では、腰を直角に折り曲げたままフリーズした人々や、路上に倒れ込み意識を失った中毒者が数百メートルにわたって連なっています。
米国の救急救命士(EMT)が現地特番インタビューで語った証言は、現場の極限状態を如実に物語っています。
「以前ならヘロインの過剰摂取患者には解毒薬ナロキソン(ナルカン)を1回投与すれば呼吸が戻った。だが今のフェンタニル、特に動物用鎮静薬キシラジンが混ざった『トランク』の現場では、4回、5回と投与しても反応がない。蘇生しても皮膚のあちこちが壊死して骨が露出し、激痛から逃れるためにその足ですぐ売人の元へ戻っていく。我々が相手にしているのは薬物ではなく、人間を破壊する悪夢そのものだ」
ネット上のコミュニティ(Redditや各種SNS)でも、一般市民の悲痛な叫びが溢れています。「不眠症でネットの掲外部サイトから買った睡眠導入剤が偽造フェンタニルで、10代の息子が一晩で息を引き取った」「処方薬の痛み止めと同じ刻印だったのに、中身は致死量のフェンタニルだった」という告白が後を絶ちません。従来の「路地裏のジャンキーが手を出す麻薬」ではなく、「一般の学生や会社員が普通の錠剤と信じて口にし、即死する」というトラップこそが、フェンタニルの最も残酷な真実です。