マグロほほ肉料理で「失敗した」と感じる人の9割以上は、調理前の下処理を省いたか、不十分だったことが原因です。ほほ肉は血液が集まりやすい部位であるため、空気に触れて酸化したドリップ(赤い肉汁)が表面に残っていると、加熱時に強い血生臭さとなって現れます。調理科学に裏打ちされた3つの基本ステップを踏むだけで、臭みは完全に消失します。
ステップ1:振り塩によるドリップの排出(浸透圧の利用)
冷凍品の場合は完全に解凍した後、ほほ肉の両面に軽く塩(肉の重量の約1%)を均一に振ります。そのまま室温で10〜15分ほど静置すると、浸透圧の働きで表面に臭みを含んだドリップがじんわりと浮き出てきます。
ステップ2:清酒での洗い流しと徹底的な水気オフ
浮き出た水分をペーパータオルで吸い取った後、料理酒または清酒を少量回しかけ、表面をサッと洗います。酒に含まれる有機酸が魚臭成分(トリメチルアミンなど)を中和・揮発させます。その後、清潔なペーパータオルで押さえるようにして、水分を1滴残らず徹底的に拭き取ってください。
ステップ3:格子状の「隠し包丁」で筋切り
ほほ肉の表面には白く硬い筋膜が走っています。この筋を切らずに加熱すると、肉が急激に反り返って焼きムラが生じ、固い食感の原因になります。肉の表面に対して深さ2〜3mm程度の浅い切れ目を、表裏両面に格子状(約1cm間隔)に入れておきます。このひと手間で熱の通りが均一になり、驚くほど柔らかな口当たりへと仕上がります。