インターネット上で「ぱよぱよちーん(略称:ぱよちん)」という言葉が突如として脚光を浴びたのは、2015年11月のことでした。当時、政治的な言動で注目を集めていた市民活動団体「レイシストをしばき隊(後のC.R.A.C.)」の周辺関係者と見られるTwitter(現X)アカウントが、親しい女性ユーザーとのやり取りの中で日常的に交わしていた合言葉のような挨拶がこのフレーズです。
「おやすみ〜 ぱよぱよちーん」といった具合に使われていた極めてプライベートかつ脱力感のある赤ちゃん言葉のようなフレーズが、なぜ日本中を巻き込む大事件の象徴となったのか。その理由は、この言葉を頻繁に発信していた人物の「現実社会での正体」にありました。
ネットユーザーの有志による綿密なデジタルフォレンジック風のログ照合により、アカウントの主がフィンランドに本社を置く名門セキュリティ企業「エフセキュア(F-Secure)日本法人」のシニア・セールス・エンジニア/マーケティング幹部・久保田氏であることが特定されたのです。セキュリティのプロフェッショナルとして企業の安全を守るべき立場の人物が、夜な夜なSNSで発していた甘えたフレーズと、裏で行っていた危険な個人情報晒し行為のギャップが、凄まじい衝撃となってネット全体を駆け巡りました。