カタカナの「エリカ」という響きには、名付け親である両親の特別な美意識が込められていました。名前の由来となったのは、ヨーロッパの荒野に自生するツツジ科エリカ属の常緑低木「エリカ(別名:ヒース、ヘザー)」です。
厳しい自然環境の中でも小さな可憐な花を咲かせるこの植物は、花言葉に「孤独」「優美」「希望」などの意味を持ちます。荒地に根を張りながらも気高く咲き誇るその姿を、愛娘の一生に重ね合わせた命名であったと伝えられています。
彼女のルーツを辿ると、父親は日本人で、かつて競走馬を多数所有する馬主としても活動していた澤尻義勝氏。母親はアルジェリア系フランス人であり、東京・西荻窪で地中海料理レストラン「パスタイム」を営んでいた澤尻リラさんです。日本とフランスの文化が混ざり合う国際色豊かな家庭で育ち、家族構成は両親と2人の兄、そして末っ子のエリカという5人家族でした。
幼少期は父が複数の馬を所有していたこともあり、乗馬やピアノを習うなど裕福な環境で育ちました。しかし、小学校高学年の頃に父親が突然失踪し、中学3年生の時に癌で他界するという悲劇に見舞われます。さらに追い打ちをかけるように、高校1年生の冬には、家族の精神的支柱であった長男(一番上の兄)が不慮の交通事故で急逝しました。
相次ぐ肉親の喪失という過酷な試練のなか、母親のリラさんは女手一つで家庭を支え続けました。次男の澤尻剣士氏(元俳優で現在は実業家)とともに、残された家族が肩を寄せ合って生き抜いたこの思春期の原体験こそが、彼女の内面に誰にも媚びない強さと独特の哀愁を植え付ける契機となったのです。