テレビ特番や自著・手記などで公開されたスイス渡航者の記録は、制度のリアルな実態を生々しく伝えています。神経難病に侵され、全身の自由を失っていく恐怖と闘った日本人女性の手記には、「自分の意思で人間らしく旅立ちたい」という切実な願いが記されていました。
当時のドキュメンタリー映像で捉えられたのは、現地医師との重苦しい対面審査の様子です。「本当に後悔はないか」「今ここで中止しても誰もあなたを責めない」と何度も医師から問いかけられ、患者が震える手で致死薬のバルブを開放する瞬間、立ち会った家族が見せた涙と沈黙は、視聴者に強烈な衝撃を与えました。
同時に浮き彫りとなったのは、遺された遺族が抱える精神的負担です。同行した家族は「本人の苦痛を終わらせてあげられた」という安堵感を得る一方で、「自分が止めるべきではなかったのか」「幇助に手を貸してしまったのではないか」という生涯消えない自責の念に苛まれるケースが少なくありません。
ネット上の掲示板やSNSでは、「自分なら苦痛なく逝きたい」「家族に介護地獄を味わわせたくない」という当事者・高齢者世代の共感の声が多数を占める一方、現役の医療従事者からは「死を選ぶ前に適切な緩和ケアが届いていないのではないか」「命を終わらせる行為に医師を巻き込まないでほしい」という悲鳴にも似た反論が寄せられています。