ドラマ『あなたの番です』において、視聴者を最も戦慄させた黒幕の正体は202号室の住人・黒島沙和(演:西野七瀬)でした。おとなしく清楚な理系女子大生という表の顔を持ちながら、その本質は「人を殺す衝動を抑えられない先天的な快楽殺人者」でした。
物語の前半ではDV彼氏に怯える被害者的なポジションを取っていましたが、その彼氏(波止陽樹)を衝動的に線路へ突き落として殺害したことを皮切りに、彼女の中の狂気が完全に覚醒。マンションの住民会で行われた他愛のない「交換殺人ゲーム」を自らの殺人衝動を満たす格好の実験場として利用し始めたのです。
視聴者に最大の衝撃を与えた第1章最終回における手塚菜奈(演:原田知世)の殺害理由は、極めて冷酷な保身と好奇心でした。菜奈は鋭い洞察力で「交換殺人の紙の筆跡」や「引いた紙と書いた紙の矛盾」を論理的に突き崩し、黒島が嘘をついている決定的な証拠に肉薄していました。自らの正体が暴かれることを察知した黒島は、菜奈に塩化カリウムを注射して殺害。「ゾウさんですか?キリンさんですか?」という残虐な二者択一を迫り、命乞いをする菜奈の苦痛に満ちた最期を撮影して楽しむという非道極まる凶行に及びました。
黒島が実行した殺人の最大の特徴は、「遺体の口角を広げて笑顔に見せる」という猟奇的なマーキングです。彼女にとって殺人は至高の愛情表現であり、死の瞬間にターゲットが見せる表情を固定化することに病的な執着を抱いていました。この笑顔の遺体こそが、住民同士の偶発的な連鎖殺人と、黒島による連続快楽殺人を分かつ決定的なサインでした。