本作を語る上で欠かせないのが、米津玄師自身が全編のアニメーションイラストを手がけた公式MVの存在です。映像作家としての卓越した才能が惜しみなく注ぎ込まれたこの映像には、歌詞の行間を補完する視覚的なメタファーが随所に散りばめられています。
MVに登場するのは、どこか憂いを帯びた少年と少女。二人の間を隔てる透明な壁やすれ違う視線、こぼれ落ちる涙の粒が繊細なタッチで描かれます。特に印象的なのは、モノトーンに近い静けさから、サビに向けて感情が溢れ出すかのように鮮やかな色彩が画面いっぱいに広がる演出です。
これは歌詞における「あたしの名前を呼んでくれた」瞬間に、白黒だった世界が突如として鮮烈な色を帯びる心理的ダイナミズムを完璧に視覚化しています。ふりがなを追うように言葉を噛み締めながら映像を追うと、言葉と絵画が一体となった総合芸術としての凄みが伝わってきます。