本作のストーリーは、出版業界で成功を収めた40代の独身女性・中村るいと、17歳年下の新進気鋭の金融系ネット企業社長・鈴木行とのスキャンダラスな純愛を軸に展開します。鈴木行には妻・万理江(深田恭子)がおり、二人の関係は不倫の泥沼へと突き進んでいきます。
この激しい愛憎劇の中で、綾野剛演じる息子・中村行の存在は、物語の倫理的な境界線を炙り出す重要な触媒となっていました。
最大の特徴は、大石静脚本ならではの象徴的な仕掛けです。母親がすべてを投げ打って愛に溺れる相手の男性が「鈴木行」であり、自らが産み育てた息子の名前もまた「中村行」であるという点です。母にとって、自立しきれない息子への罪悪感と、年下の恋人への狂おしい執着が、奇しくも同じ「コウ」という名前を通じて交錯します。
息子・行は、母親の恋愛を察知して激しく反発し、暴言を吐きながらも、心の底では母親の愛情に飢えている姿を露わにします。2011年に公開された映画版『セカンドバージン』でも綾野剛は同役を続投。ドラマ版からさらに深化した、母と息子の心理的距離感をスクリーン上で見事に表現しきりました。