連載当時、一部の読者の間で熱心に語られていたのが「ジャイロ=メルエム説」でした。キメラアントの頂点として生まれた王(メルエム)の圧倒的なカリスマや、当初自らの名前すら知らなかった描写から、「ジャイロの強大な魂が王として生まれ変わったのではないか」という仮説が浮上した時期があったのです。
しかし、この説は原作のタイムラインと描写を精査すれば完全に否定されます。
コミックス20巻第204話において、フードを目深に被り、影を背負って歩くジャイロの姿が1コマ明確に描かれています。この時点でメルエムはまだ女王の胎内に宿っており、物理的に別の個体として存在していました。さらに同話では、キメラアントの巣へ向かうゴンとキルア、そして街を離れるジャイロが、ニアミスするシーンが描かれています。
メルエムが「暴力による世界の統治から、コムギとの対話を経て人間的な愛に目覚めた存在」であったのに対し、ジャイロは「終始一貫して世界への純粋な悪意を燃やし続ける存在」です。キャラクターのテーマ性という観点からも両者は対極に位置しており、ジャイロはメルエムとは全く別の脅威として、人間界の闇に根を下ろしています。