尼崎市の水道事業を語る上で欠かせないのが、自己水源による浄水から広域受水へのダイナミックな転換です。かつて尼崎市水道局(現・尼崎市公営企業局)は、市内の神崎浄水場などで地下水や河川水を自前で浄水し、市民へ配水していました。しかし、地下水の塩水化や地盤沈下の問題、さらに施設の老朽化と耐震化の課題に直面し、抜本的な事業再編が進められました。
現在、尼崎市内で消費される水道水のほぼ100%は、兵庫県下の4市で構成される阪神水道企業団から受水しています。淀川から取水された原水は、高度な浄水処理施設を備えた尼崎浄水場や猪名川浄水場などで処理され、市内の要である園田配水場などを経由して各家庭や事業所へと届けられます。
「自前の浄水場が役割を終えた」と聞くと不安を覚える声もありますが、実際には広域連携によって施設更新の莫大なコストを抑えつつ、災害に強い強靭なループ状配水管網が構築されています。2026年の現在、尼崎の給水システムは関西圏でも屈指の安定性を誇るインフラ基盤となっています。