舐達麻の歩んできた道を理解する上で、決して忘れてはならない決定的な惨劇が存在します。彼らが10代の終わりに起こした「金庫破り(建造物侵入・窃盗)」事件と、その逃走の果てに起きた自動車事故です。
2009年、埼玉県内で金庫を強奪した彼らは、パトカーの追跡を振り切るために猛スピードで逃走。その混乱の中で車が激突事故を起こし、車内に同乗していた幼馴染でありクルーの結成メンバーだった104(トシ)氏が命を落とすという最悪の結末を迎えました。
生き残ったBADSAIKUSHらは逮捕され、司法の裁きを受けて施設へと送られました。仲間を死なせてしまったという消えることのない自責の念、鉄格子の中で噛み締めた絶望。当時のインタビューや手記において、BADSAIKUSHは「自分たちが音楽をやる理由は、あの事故で死んだトシの存在を証明し続けるためでもある」という趣旨の告白を残しています。
彼らが率いるクリエイティブ集団「アフロディーテギャング(APHRODITE GANG HOLDINGS)」という看板には、単なる地元仲間という枠を超え、罪と後悔を共有した者同士の血よりも濃い連帯が刻まれています。彼らの反骨精神やアウトローとしての生き様は、刹那的な格好付けではなく、死と隣り合わせの現場から生還した過去の傷跡から生じているのです。