実態のないデマがなぜ10年以上の歳月を経てなおネットの海を漂い続けているのか。その背景には、掲示板文化特有の「ミーム汚染(ネット文化の記号化)」が存在します。
当時のなんJコミュニティでは、特定のフレーズを機械的に反復・改変して書き込む文化が定着していました。「唐澤貴洋+下劣な行為」を組み合わせた構文は、文脈を問わずスレッドに投下される定番のネタと化し、書き手側にもはや「実在する生身の人間を傷つけている」という罪悪感は麻痺していきました。
知恵袋やSNSの投稿を分析すると、「昔からよく見る文字列だが、本当にあった事件なのか?」と純粋な疑問を抱く若い世代の投稿が目立ちます。一次情報を知らない新規ユーザーが、ミームとして定着した悪質なコピペを無批判に受け止め、検索クエリに打ち込むことでアルゴリズムが関連語として認識し続けるという、負の再生産ループが構築されてしまったのです。