「プーさんのハニーハント」に一歩足を踏み入れると、誰もが「床にレールがない」という事実に驚かされます。ゲストが乗り込むファンタジーランドのハニーポット(蜂蜜の壺)は、まるで生き物のように滑らかに動き、時には円を描いて回転し、時にはバックしながら部屋を巡ります。
この驚異的な動きを実現しているのが、ディズニーが開発した画期的な「トラックレス・ライドシステム」です。床面下に埋め込まれた無数の磁気マーカーや誘導線、そして施設天井部に設置されたローカルポジショニングシステム(LPS)の赤外線通信により、ライドの正確な位置を1秒間に何十回もミリ単位で測定・自律制御しています。車載コンピューターが指令を受け取り、各ハニーポットが独立して最適な加減速や方向転換を行うため、従来の固定レール型アトラクションでは不可能だった自由自在な動線が生み出されているのです。
一方で、パークファンの間で度々話題にのぼるのが「一時的なシステム調整」の頻度です。このプーさんのハニーハントのシステム調整の原因は、極めて高度な安全センサーの感度に起因しています。ハニーポット同士が衝突しないよう全方位にミリ波レーダーや超音波センサーが張り巡らされており、ゲストが落としたカチューシャやスマートフォンなどの異物、あるいは規定エリア外へのわずかな身の乗り出しを検知すると、事故防止のために自動制御で緊急停止する構造になっています。現場の安全性を極限まで高めているからこその精密な設計が、時に一時運休という形で現れるのです。