砂抜きが不要な代わりに、ホタテ稚貝の下処理で命となるのが「殻の外側についた泥汚れと付着物の除去」です。海から引き揚げられた稚貝の殻には、微細な泥粒子や海藻の破片、小さなフジツボなどが付着しています。これを落とさずに鍋へ放り込むと、煮汁が灰色に濁り、ジャリッとした不快な舌触りの原因になります。
泥抜きと洗浄を効率的かつ確実に行うステップは以下の通りです。
ステップ1:ボウルの中で殻同士をこすり洗いする
大きめのボウルにホタテ稚貝を入れ、少量の水を注ぎます。両手で貝をすくい上げ、貝と貝をジャラジャラと擦り合わせるようにリズミカルに揉み洗いします。これだけで殻の表面についた大半の泥汚れが水中に剥がれ落ちます。
ステップ2:頑固な付着物は「たわし」で掻き出す
殻の筋目に泥が深く入り込んでいる個体や、付着物が多い個体は、清潔な亀の子たわしやキッチンブラシを使って流水の下でサッと擦ります。蝶番(ちょうがい)の隙間は汚れが溜まりやすいため、意識してブラッシングするのがポイントです。
ステップ3:濁りが消えるまで手早くすすぐ
ボウルの水を2〜3回入れ替え、水が澄むまですすぎます。ここで最も意識したいコツは「真水に長く浸け置かないこと」。ホタテの細胞膜は淡水に弱く、水に浸けたまま放置するとグリシンやアラニンといった甘味成分がどんどん水側へ流出してしまいます。「一気に洗って、一気にザルへ上げる」スピード感が仕上がりを左右します。